部下や後輩、同僚、児童・生徒、友だちのモチベーションを上げ、実力以上の成果を出すために役立つ2つの心理効果についてお話しします。
重要なのは声掛けでした!
ホーソン効果とピグマリオン効果をつかって、モチベーションアップ、相手の実力を引き出します!
ホーソン効果
観察されていると感じることに加え、適切なコミュニケーションや社会的関与によって、個人の行動やパフォーマンスが向上する現象です。
職場や教育現場など、日常のあらゆる場面で応用可能!
歴史的背景とホーソン工場の研究
1920年代から1930年代にかけて行われたホーソン工場での実験では、労働条件の変更が生産性に与える影響を調査しました。
驚くべきことに、労働条件がどう変わろうとも、生産性は向上。
これは、労働者が観察されていると感じ、いつにもまして集中力が向上したためと考えられました。
しかし、さらに重要なのは、上司や同僚とのコミュニケーションや労働者間の社会的関与が、自己重要感を高め、生産性向上に大きく寄与したことです。
メカニズム
観察効果:
人は観察されていると感じると、他者からの評価を意識するようになります。この意識が働くと、「良い評価を得たい」という気持ちが強まり、結果としてより一生懸命に働くようになります。
例えば、上司が自分の仕事を見ていると知ると、その上司に良い印象を与えたいと考え、努力量増加。観察されていることで、自己監視が強化され、ミスを避け、効率的に働くようになります。
コミュニケーション:
積極的なコミュニケーションは意欲を高めます。
具体的なフィードバックや感謝の言葉でモチベーションが向上。
例えば、上司が具体的な指示や改善点を伝えることで、労働者は自分の仕事が認識され、評価されていると感じます。
ネガティブなフィードバックも大切ですが、ポジティブなフィードバックはもっと効果があります。
これは自己効力感の向上に繋がります。
社会的関与と自己重要感:
人びとは自分たちが注目され、重要な存在であると感じることで、モチベーションが向上し、生産性が高まります。
人は本質的に社会的な存在であり、他者との関係性の中で自己の価値を見出すことが多いです。
例えば、上司や同僚からの承認や称賛は、自分がその集団にとって重要な存在であると感じさせます。自己重要感が高まると、自分の仕事が重要であると感じ、責任を持って取り組むようになります。
これこそがエンゲージメントの向上!。エンゲージメントとは、仕事に対する思入れや愛着です。
実践的な応用
フィードバックの提供:
部下や後輩に対して具体的なフィードバックを行ってください。
これにより、彼らは自分の努力が認識されていると感じ、モチベーションが向上します。
- 例: 「君のこのプロジェクトでの貢献は素晴らしい。次回も期待している。」
特別な役割を与える:
重要な役割を与え、彼らが特別な存在であると感じさせることで、自己重要感が高まり、生産性が向上します。
- 例: 「この新しいプロジェクトには君が一番適任だと思う。君のスキルなら完璧にこなせるよ。」
具体的なフィードバックや感謝の言葉を伝える:
部下や学生に具体的なフィードバックや感謝の言葉を伝えることで、彼らのモチベーションを高めます。これにより、彼らは自分の努力が評価されていると感じ、さらに努力を重ねます。
- 例: 「君が行った詳細な調査のおかげで、プロジェクトがスムーズに進みました。ありがとう。」
注目と認識を与える:
部下や学生が注目され、重要な存在であると感じるように配慮します。
定期的なミーティングや意見交換の場を設けることで、彼らの意見や考えが尊重されていると感じさせます。
- 例: 「君の意見を聞かせてほしい。君の洞察力を頼りにしている。」
ピグマリオン効果
ピグマリオン効果は、他者からの高い期待が個人のパフォーマンスを向上させる現象です。
元々は教師の生徒へのフィードバックの効果を検証したものです。
しかし、職場や教育現場などで広く応用可能!
実験の背景
1960年代にロバート・ローゼンタールとレノア・ジェイコブソンが行った実験で知られています。
教師が特定の生徒に成績が向上する見込みがあると伝えたところ、その生徒たちの成績が実際に向上したことが確認されました。
この実験は、期待が現実のパフォーマンスに影響を与えることを証明。
メカニズム
厳しい状況でもあきらめずに真摯に向き合い、問題解決・状況打破の努力ができます。
新しい課題や難しい状況:
例えば、今まで行ったことのないプロジェクトや、自分たちよりもはるかに強い相手との試合を思い浮かべてください。
結果が分かり切っていると感じてやる気がなくなることがあります。
新しい大規模プロジェクトに取り組む前に、メンバーが「自分には無理だ」と感じている状況です。
期待をかける:
上司や指導者が部下や学生に、期待しているということを伝えます。
「あなたはこのプロジェクトに一番適任だと思う。今まで通りの仕事をしてくれたらうまくいくよ」、「このチームは、私が指導してきた中で一番強い。いつも通りの練習をすればきっと勝てるよ」などです。
このようにプラスのフィードバックや期待の伝達を行います。
これにより、言われた側は自分が期待されていると感じ、自信を持ち始めます。
自己効力感の向上:
期待をかけられることで、「自分ならばできる、頑張ろう」や「自分たちのチームならできる」といった自己効力感が高まります。
自己効力感とは、自分が成功するための能力を持っていると信じる感覚。
これにより、やる気が出て課題や試合に真摯に取り組むことができます。
例えば、プロジェクトメンバーが「自分にはできる」と信じるようになり、積極的にアイデアを出し始める状況です。
フィードバックの強化:
期待されていると感じると、フィードバックを前向きに捉え、改善に努めます。
例えば、「ここを改善すればもっと良くなる」というフィードバックを素直に受け入れやすくなります。
期待されることで、フィードバックを受け入れやすくなり、より良い結果を目指す意欲が高まります。
内発的動機付けの促進:
期待されることで、仕事や活動に対する内発的な動機(自己満足や達成感など)が芽生えます。
内発的動機付けとは、仕事そのものから得られる満足感であり、外部からの報酬ではなく、仕事自体から得られる満足感に基づくものです。
例えば、プロジェクトが順調に進むことで、「自分の努力が結果に結びついている」と感じ、さらに意欲が湧いてくる状況です。
エンゲージメントの向上:
自己重要感を感じることで、仕事に対する情熱や関与が高まり、より一生懸命に働き、責任感も強くなります。
自己重要感が高まると、自分の仕事が重要であると感じ、責任を持って取り組むようになります。エンゲージメントとは、仕事に対する積極的な関与を意味します。
例えば、プロジェクトに対する情熱を持ち、積極的にアイデアを出したり、問題解決に取り組んだりすることです。
実践的な応用
期待を明示する:
部下や後輩に対して具体的な期待を伝えましょう。これにより、彼らはその期待に応えようと努力します。
- 例: 「君ならこのプロジェクトを成功させることができると期待している。」
- 例: 「次のプレゼンは君に任せたい。君のスキルと才能を信じている。」
具体的なフィードバックを提供する:
期待を明示しつつ、具体的なフィードバックを提供することで、彼らの努力をサポートします。
- 例: 「この部分を改善すれば、さらに良い成果が期待できる。」
- 例: 「君の提案は素晴らしいが、もう少しデータを追加するとさらに説得力が増す。」
自己効力感を高める:
成功体験を通じて自己効力感を高め、さらなる挑戦への意欲を引き出します。
- 例: 「前回のプロジェクトでの君の成果は素晴らしかった。次も期待している。」
- 例: 「君がリーダーシップを発揮したことで、チーム全体の士気が上がった。これからもその調子で。」
内発的動機を促す:
仕事そのものに対する興味や満足感を引き出すような言葉かけを行います。
- 例: 「君のアイデアがプロジェクトを大きく前進させた。自分の成長を感じるだろう。」
- 例: 「このタスクに取り組むことで、君のスキルがさらに向上すると思うよ。」
エンゲージメントを強化する:
期待とフィードバックを通じて、仕事への関与を高めます。
- 例: 「君の努力がチームの成功に大きく貢献している。」
- 例: 「君の役割はチームにとって非常に重要だ。これからもその貢献を期待している。」
まとめ
ホーソン効果とピグマリオン効果は、どちらも部下や後輩のモチベーションを引き出し、生産性を向上させるために有効な手法です。
ホーソン効果は、観察されていること、積極的なコミュニケーション、そして社会的関与と自己重要感を通じて働きかけます。
一方、ピグマリオン効果は、高い期待をかけ、自己効力感を高めることで成果を引き出します。
すぐに実践できる例
- フィードバックの提供: 「君のこのプロジェクトでの貢献は素晴らしい。次回も期待している。」
- 特別な役割を与える: 「この新しいプロジェクトには君が一番適任だと思う。」
- 具体的なフィードバックや感謝の言葉を伝える:
「君が行った詳細な調査のおかげで、プロジェクトがスムーズに進みました。ありがとう。」 - 注目と認識を与える: 「君の意見を聞かせてほしい。君の洞察力を頼りにしている。」
- 期待を明示する: 「君ならこのプロジェクトを成功させることができると期待している。」
- 内発的動機を促す: 「君のアイデアがプロジェクトを大きく前進させた。素晴らしい。」
これらの具体的な行動やフィードバックを通じて、ホーソン効果とピグマリオン効果を実践してみてく獺祭。
周囲の人々のモチベーションを高め、より良い成果につながることを願っています。
最後までお読みいただきありがとうございます。
引用参考文献
- Rosenthal, R., & Jacobson, L. (1968). Pygmalion in the Classroom: Teacher Expectation and Pupils’ Intellectual Development. Holt, Rinehart & Winston.
- Mayo, E. (1933). The Human Problems of an Industrial Civilization. Macmillan.
- Levitt, S. D., & List, J. A. (2011). Was There Really a Hawthorne Effect at the Hawthorne Plant? An Analysis of the Original Illumination Experiments. National Bureau of Economic Research.
- DiNardo, J. (2008). Interesting Questions about the Hawthorne Effect and the Experimental Paradigm. Labour Economics.
- Deci, E. L., & Ryan, R. M. (1985). Intrinsic Motivation and Self-Determination in Human Behavior. Plenum.
- Pink, D. H. (2009). Drive: The Surprising Truth About What Motivates Us. Riverhead Books.
- Kluger, A. N., & DeNisi, A. (1996). The Effects of Feedback Interventions on Performance: A Historical Review, a Meta-Analysis, and a Preliminary Feedback Intervention Theory. Psychological Bulletin.
- Hattie, J., & Timperley, H. (2007). The Power of Feedback. Review of Educational Research.
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